Shuzo Azuchi Gulliver
78.8 x 109.1 cm
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デ・ストーリー 場所:佐藤エステートビル6 階 猿楽町、渋谷区、東京 時間:1984 年 3月6日1 時 30 分−3月16日1 時 30分 構造体は彫刻のように見えるかもしれないし、中に人間がいるということから建築のように見えるかもしれ
ない。いや核シェルターのようにも、棺桶のようにも。しかし、それらでないことは明らかである。もちろん、ギネスブック的な人間の限界に挑戦するようなものでもない。これは 1984年東京においてなされる存在(という智恵)に
関する明日へのアプローチである。この構造体は私自身かもしれない。そして、この生身の私はその心のようなものかもしれない、あるいは重心のような。その営為が社会状況に対応している以上、東京に住むアーティストによっ
て行なわれる以上、又、それはいろいろな東京のかかえる社会問題を想起させるかもしれないし、日本人のもつ、少しは似ているかと思われる伝統的で民族学的な事柄を思い浮かばせるかもしれない。最初からこのような具体性が
あったわけではなかった。一定期間ただ横たわっていたい、寝ていたい、ただ在っていたい、という欲望のようなものから、これは出発した。そして、その地点から次々と克明化する図地をめぐり、その総体の一つのシンボリックな形
として展開する、これはプロセスである。240時間という、何ものか、それ自身が物として実在するかのように、この構造体は私をかりて生息するであろう。240 時間、その拡大した身体の故に、飛びかう情報をたちきり、東京をぬけ出
し、生身の私は洞窟のようなものの中で、サナギのように、ただ寝ているということになるのかもしれない。問題はそこに将来する世界の消息である。私はこの営為を東京にささげる。1984 年 3月5日 夜 シュウゾウ・アヅチ